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ダイカスト金型の寿命向上

2022/10/17

ダイカスト金型の寿命向上と表面処理(窒化処理)

更新日:2022/12/06

更新者:西野

こんにちは。エア・ウォーターNV㈱です。

 

ダイカスト金型を使用した鋳造では、溶損ヒートクラックなどのトラブルが発生する場合があります。

 

このようなトラブルがダイカスト金型の寿命を短くする原因になります。

 

ここではダイカスト金型の長寿命化のために「NV窒化」がどのように役立つのかご説明いたします。

 

 

ダイカスト金型のトラブル

ダイカスト金型を使用した製造工程で発生する可能性のあるトラブルを2つ紹介します。

ダイカスト金型とは

 

ダイカスト金型は金属鋳造方法の一つであるダイカスト法で使用される金型です。

 

ダイカスト法では加熱により液状化した金属を高圧で金型に流し込みます。高速充填によって精度の高い製品を短時間で量産することができます。

ダイカスト金型の材質はSKD61などの鉄鋼材料です。

 

金型に流し込まれる素材には主にアルミニウムなどの非鉄金属やその合金が使用されます。

 

溶損とは

 

ダイカスト金型のトラブルとして、まず「溶損」が挙げられます。

 

これは、高温で液状化したアルミニウムと触れることで金型が溶け出して損傷することです。高温のアルミニウム溶湯と鉄鋼が接触することで合金ができます。

 

この合金の融点は低いのでアルミニウム溶湯に溶け出してしまいます

 

ダイカスト金型の寿命を長くするには、耐溶損性を高める必要があります。

 

ヒートクラックとは

 

ダイカストによる鋳造の際に、ダイカスト金型の表面に亀甲状のひび割れが発生することがあります。

 

このひび割れをヒートクラック」といいます。

 

ヒートクラックが起こる原因は、加熱による膨張と冷却による収縮が繰り返されることです。

 

ダイカスト金型は金属溶湯が流し込まれることで加熱され、溶湯を固形化して製品として形成するために冷却されます。

 

大量生産のために加熱と冷却は何度も繰り返されます。

 

 

 

解決策としての窒化処理

上記で説明したダイカスト金型のトラブルを解決するには、窒化処理が有効です。

窒化とは

 

窒化は、鉄鋼製品の表面硬化手法の一つです。

鉄鋼に窒素を拡散浸透させて表面に硬質の窒化物を生成させることで、鉄鋼製品の硬度を高めます。

 

ダイカスト金型に窒化を施すメリット

 

窒化によって生成される窒化物層はあまりアルミニウムと反応しないため、

アルミニウム溶湯による溶損を防ぐことができます。

 

また、表面を窒化処理することによって高温状態での強度が向上ヒートクラックの対策にもなります。

 

問題点

 

窒化処理で鉄鋼表面に生成される化合物層は非常に硬い反面、

 

化合物層の厚みを厚くするとヒートクラックが発生しやすくなる

というデメリットがあります。

 

表面の硬さと強靭さはトレードオフの関係です。

 

そのため、金型の目的に合わせて化合物層の厚みをコントロールし、鉄鋼表面の硬さを調整することがダイカスト金型にとってとても大切です。

 

 

エア・ウォーターNV㈱にできること

上記で説明した問題に対して、弊社独自技術「NV窒化」による解決法をご紹介します。

NV窒化

 

NV窒化は

フッ素によるガス活性化とガス窒化(ガス軟窒化)を組み合わせた窒化処理です。

 

窒化処理を行う前のプロセスとして、ガス活性化を行っています。

ガス活性化を行うことで窒素原子が内部に浸透しやすくなります。

窒化処理の際に窒素が内部に広がりやすくなったことで、雰囲気の窒化力を細かく制御可能になりました。

 

細かな雰囲気コントロールを窒化層厚さや硬度に直に反映でき、金型の目的に合わせた窒化層の設計が可能です。

 

NV窒化の原理

NV窒化の原理

 

金型専用処理の種類

 

エア・ウォーターNV㈱では、金型専用の窒化処理を開発しています。

 

耐ヒートチェック処理【NVT】

 

金属表面が脆くなるのを抑止しながら、圧縮残留応力を付与することにより、ヒートチェック発生の原因となる加熱急冷時の応力を軽減します。

 

残留応力とは外力が存在していない場合でも物体内部に生じている応力(ストレス)のことです。

 

圧縮応力は表面の強度を増す働きをします。

 

耐溶損処理【NVE】

 

窒化処理で形成される均質な化合物層によって、摩耗や溶損を防ぐことが可能です。

また金型にアルミニウムが付着する焼き付きの防止にもなります。

均質な化合物層の形成により耐焼付性を向上させます。

 

金属放電被覆+NV窒化処理【NVDC】

 

放電被覆とはアーク放電によって金属の表面に被覆材料を形成させる新しい表面処理技術です。

 

被覆部分は耐溶損性を大幅に向上させます。

 

さらに窒化処理を併用することで耐ヒートチェック性を向上させることができます。

 

おわりに

 

ダイカスト金型の長寿命化にNV窒化が効果的であることがご理解頂けたでしょうか。

エア・ウォーターNV㈱では、お客様の要望(要求仕様、受注量など)に合わせて技術スタッフが最適な処理条件を設計致します。

まずはお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧に対応致します。

 

エア・ウォーターNV㈱では皆様にお役に立てる情報を今後も発信していきます。

引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

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